鎌倉市は1月6日から、二階堂と浄明寺の一部で「オンデマンドモビリティ」の実証実験をスタートさせた。期間は31日まで。利用者の要望をAIが分析して普通自動車や電気自動車を運行し、地域内を効率的に移動できるサービス。市は結果を分析し、両地区だけでなく郊外の団地など高齢化が進む他地域での交通問題解消にもつなげたい考えだ。
市は1999年に策定したオムニバスタウン計画(バス交通の充実で渋滞や環境問題の緩和を図るもの)において、6地区を「交通不便地域」に位置付け、ミニバスの導入などを進めてきた。
しかし二階堂・浄明寺地区は、狭い道路や坂道が多いためにバス等の運行が難しく、取り組みが遅れていた。
今回の実証実験は「バスとタクシーの中間に位置する新たな交通手段」の導入で、両地区の課題解決を目指すもの。利用者はスマートフォンのアプリや電話で予約すると、地域内約60カ所に設定された「乗降ポイント」間を移動することができる。AIが要望を分析して、より効率的な運行を導き出すといい、特に高齢者を中心に「自宅近くから最寄りのバス停まで」といった利用を想定している。7
利用は無料だが、事前の登録が必要。市は昨年12月に3会場で説明会を実施するなどして利用を促しており、現在約170人が登録済み。
実験は2回にわけて行われる。第1期は1月17日(日)までで、10人乗りのワゴン型普通自動車を、第2期は20日(水)から31日(日)までで、グリーンスローモビリティと呼ばれる時速20キロ未満で公道を走行できる電気自動車(定員7人)を、それぞれ運行する。市交通政策課では「どちらの車両が地域のニーズにより合致しているかなどを探っていきたい」とする。
松尾崇市長は5日の定例会見で「高齢化が進む郊外住宅団地などの移動環境の改善にも有効と考えている。実験を通じて、地域のニーズと事業継続性を把握し、他地域における展開も検討したい」と話した。